愛知県議会議員 神谷まさひろ

東陽町ホンネの日記

2025年6月4日(水)

Aichi Sky Expoにおいて開催されている産業展示会「AXIA EXPO 2025」に出かけました。昨年から始まったこの「「AXIA EXPO」は「愛知発 カーボンニュートラル社会の実現へ」をテーマに、次世代エネルギーやスマートシティ、グリーントランスフォーメーション(GX)など、持続可能な未来社会の構築に向けた最新技術や製品が一堂に会する場となっています。

開会式の後に行われた先進自治体によるパネルディスカッションでは「水素の社会実装における課題と展望」というテーマで愛知県・福岡県・福島県・北海道の取組が紹介されました。

確かに水素は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要なエネルギーのひとつとして期待されていますが、次のような課題や問題点があります。

◎グリーン水素のコストが高い
水素は製造方法によって「グレー(化石燃料由来)」「ブルー(二酸化炭素回収付き)」「グリーン(再エネ由来)」に分類されます。最も環境負荷が少ない「グリーン水素」は、再エネでの電気分解が必要ですが、コストが高く、大量供給が難しいのが現状です。

◎現状では化石燃料由来の水素が主流
現在の水素の多くは天然ガスなどから作られる「グレー水素」であり、製造時にCO2が排出されるため、根本的な脱炭素にはつながりません。

◎水素ステーションの不足
燃料電池車(FCV)などの普及に不可欠な水素ステーションは全国的に数が少なく、地域間の格差も大きいです。

◎輸送・貯蔵の難しさ
水素は非常に軽く拡散しやすく、常温・常圧では非常に密度が低いため、圧縮・液化など特殊な方法での管理が必要です。その分、コストやエネルギーロスが生じます。

◎爆発性が高い
水素は空気中に漏れると爆発の危険性があり、取り扱いには高度な安全対策が求められます。社会的な「安心感」の醸成も必要です。

◎コスト競争力の不足
現時点では、水素エネルギーは天然ガスや石油などの既存エネルギーと比べて割高であり、産業用途や一般消費者への普及が進みにくい状況です。

◎海外依存のリスク
グリーン水素の安価な大量供給には、再エネが豊富な国(オーストラリア、中東など)からの輸入が前提になる場合もあり、エネルギー安全保障の観点で課題があります。


水素は脱炭素に向けた鍵を握る存在でありながら、技術・経済・インフラ・制度の各面で多くの課題を抱えているのが実情であると思います。そうであるからこそ、今後も国や自治体、企業が連携して着実に前進させていくことが不可欠であり、県の役割は非常に重要であると思います。

▲TOP