「ケアラー支援条例」について学ぶため、日本福祉大学の湯原悦子教授を訪ねました。湯原先生は、ケアラーを社会全体で支える仕組みづくりを目指して活動する(一社)日本ケアラー連盟の理事を務めておられます。
そもそも「ケアラー」とは、家族や身近な人などの介護・看護、日常生活の支援などを無償で担っている人のことです。高齢者や障害のある方など、ケアを必要とする人に対する支援は、これまで福祉制度の中で進められてきました。
一方で、日本の福祉制度は基本的に「ケアを必要とする当事者」を中心とした仕組みとなっており、その介護や支援を担っている「ケアラー自身」の生活や人生、心身の負担については、十分に顧みられてこなかったという課題があります。
湯原先生が大切にされているのは、「ケアを必要とする人と同じように、ケアをする人の幸福も尊重されるべきだ」という考え方です。家族だから、親子だから、兄弟だからといって、介護やケアを一人で抱え込むことが当たり前にするのではなく、ケアをする人が自分の仕事や学業、子育て、趣味、将来の夢などを諦めることなく、「自分らしい人生」を歩むことができる社会をつくっていくことが重要です。
現在、国においてケアラー支援に関する法律はまだ制定されていません。しかし、全国の自治体では、国に先駆けて独自の条例を制定し、具体的な支援に取り組んでいるところがあります。
その一つが神奈川県藤沢市です。藤沢市では、条例の名称を「ケアをされる人もする人も自分らしい生き方ができる藤沢づくり条例」としています。条例の名称そのものに、ケアを必要とする人だけでなく、ケアを担う人も大切にするという理念が込められており、とても分かりやすく、印象に残りました。
また、京都市の条例では、支援施策の実施に当たって「必要な財政上の措置を講じる」と規定されており、単なる努力義務にとどまらず、実効性のある支援につなげていこうとする姿勢が示されています。
今回、湯原先生のお話を伺い、ケアラー支援は単に介護する人の負担を軽減するというだけの問題ではなく、「誰もが自分らしく生きることのできる社会をどうつくるか」という、非常に重要なテーマであると改めて感じました。
特に、家族の介護を担うことで仕事を辞めざるを得なくなったり、子どもが家族の世話を担う「ヤングケアラー」となったりするなど、ケアの問題がその人の人生そのものに大きな影響を及ぼすケースもあります。
今回の湯原先生との意見交換で得た学びを、今後の県政にしっかりと生かして行きたいと思います。