岩手県釜石市にある『いのちをつなぐ未来館』を視察しました。
2019年3月にオープンした防災学習施設です。釜石市震災メモリアルパークの基本理念に基づく5つの機能のうち「伝える」「学ぶ」「集う」の役割を持ち、震災の記憶と教訓の継承、釜石市の子どもたちが震災以前から取り組んできた防災教育の普及を行っている施設です。
語り部の方による説明を受けたの後、車で5分ほどの場所にある片岸海岸の水門・防潮堤を見学し説明を受けました。震災前には昭和37年~40年に施工されたTP(海面からの高さ)6.4mの地震津波対策堤防があったのですが、全く意味を持たずに決壊し、その一部残骸が残っていました(左の写真:海岸に一部残っている旧堤防)
その後、防潮堤と水門が整備されました。水門は延長236メートルで、TP14.5メートル。深い所では30メートル以上にも及ぶ鋼鉄製の基礎杭を1100本も打ち込み支えられています。水門は津波を受け止める5つのカーテンウオールとゲートで構成され、上部に4つの機械室が置かれ、災害に強い専用の衛星回線を使って遠隔操作で開閉するシステムになっていました。
一方、防潮堤は延長818メートルで、堤体の高さは水門と同じく14.5メートル。東日本大震災の津波で旧防潮堤が壊れた教訓から、より粘り強い工法が採用されたとのこと。堤体上部には高さ1.1メートルの柵が設置され、完成後は散策路としても活用され、私もその散策路を歩いて説明を受けました。
工事はいずれも2014年から始まり、防潮堤が19年3月、水門は20年3月に完成。工事費は水門約188億円、防潮堤約123億円の合わせて約311億円とのことです。
多額の予算を掛けて整備された防潮堤と水門です。本来はこれらを使うことがないことが一番であると思います。しかし、万が一の際にはこれらが多くの住民命と財産を守ってくれることを信じています。