世界的な気候変動と戦争で食料は不足し、肥料資源も奪い合いとなっており、国内農業の採算性は悪化しています。しかも、土壌の成分検査を怠って過剰に施肥する習慣を持つ農家も多く、これが生産性や品質を落としています。
問題は肥料だけではありません。日本の肉や卵は良質ですが、畜産・養鶏に不可欠なトウモロコシなどの飼料も、これまたほぼ全量が輸入です。輸入飼料の価格も高騰しているうえ、家畜糞尿を垂れ流すと、輸入飼料内の窒素分が土壌や地下水に過剰に蓄積され、健康被害が起きます。ここでも飼料作物の自給率向上と、糞尿のリサイクルが急務です。
こうした問題への対応のカギは、肥料を堆肥や家畜の糞尿などから自給する、有機農業の普及です。適切な肥料と飼料で健康に育った作物や家畜を頂くことは、食べる側の健康にとってもたいへん重要なのです。
EUでは、8年後の2030年までに、有機農業を抜本的に普及させることを定めて取り組んでいます。日本でも農水省が「みどりの食料システム戦略」を策定し、有機農業促進を高く掲げ始めました。しかるに日本国内の耕作地に占める有機農業地の比率は、わずか0.6%。なぜなのか?
明日17日(土)17時半~19時のTBS報道特集は、こうした現状に鋭く突っ込み、未来を先取りする事例を紹介します。